着信アリ

着信アリ

着信アリ』(ちゃくしんアリ)は、角川書店が刊行した秋元康原作のホラー小説シリーズである。

角川書店のメディアミックス展開によって、映画、漫画、テレビドラマなどで発表されている(ただし、テレビドラマとハリウッドリメイク版はスピンオフとして扱われる)。

現代社会の必需品ともいえる携帯電話を題材にしており、死の予告電話がかかってきた人物がその予告通りに死を遂げるストーリー。主人公は全て女性であり、日本、台湾、韓国などを舞台にしている。事件を起こす人や死の予告電話の元凶を作る人は全て虐待やイジメ、迫害などで理不尽に心や体を傷つけられた者で、互いに共鳴しあい、事件を起こす。

米国では2008年1月4日には「ワン・ミス・コール(One Missed Call)」というタイトルのハリウッドリメイク版が公開された。日本では2008年7月19日に角川より公開。

携帯電話

このシリーズでは、携帯電話が重要な役割を演じている。被害者の受ける電話の特徴は次の通りである。

  • 発信者は自分の携帯電話の番号である。
  • 着信履歴に残る時刻は未来の時刻である。未来の時刻は不定で数分~数十分後という短いものから3週間~半年後という長いものまである。
  • 着信メロディは登録の有無に関わらずどの人も同じメロディが用いられ、自分の携帯電話が鳴っているとは気付かない場合もある。
  • 音声による予告の場合は、留守番メッセージに被害者自身の声や周囲の音が入っている。予告時間になると録音されていたものと全く同じ音や声が発せられる。
  • メールによる予告の場合は、被害者の死ぬときの写真や動画が添付されている。
  • 被害者の携帯電話に登録されている電話番号から次の被害者が選ばれる(友人や恋人にかかって来やすい)。死の予告を受けた次の被害者が死ぬと、上記と同じような行動をする。(テレビドラマ「着信アリ」の場合は例外)
  • 死に方は即死ではなくほとんど苦しみながら死ぬことが多い。(これは死の予告を送っている殺人鬼が残忍な殺し方を好むからだと思われる。実際、岡崎陽子が死の予告で電車に轢かれ、右手足を切断する重傷を負ったのにも関わらず即死ではなかった)
  • 被害者は、その着信時刻にその電話の内容通りのセリフを自分が口にしたことや音に気付き、自らの死を悟り苦しみながら死んでいく。まれに着信履歴の時刻より早く死ぬこともある(原作で妹尾刑事が予告時間の1日前に死亡している)。
  • この予告を受けてしまうとその運命から逃れることは難しい。電源を切ったり、解約したり、破壊してもつきまとわれる。ただ、この予告を携帯電話の 所有者以外の人が取れば、電話を受け取った人が身代わりとして死ぬことになる(2で判明)。また、Finalでは死の予告を受けても誰かに転送すれば、死 の予告から逃れることができるが、転送できるのは、最初に着信を受けた人だけで転送された人はその予告を転送した人にも、他の人にも転送することができ ず、そのまま死んでしまう。犠牲を一人も出さずに死の運命から完全に逃れるにはそれを送る元凶をどうにかする必要がある。
  • 携帯電話の機能が向上するたびに、その機能に応じて新しい予告の形態が現れる。逆に辿ると携帯電話や、電話などのなかった時代には、「死の予告手 紙」が被害者の筆跡で送られてきていた(実際、80年前に台湾のある炭鉱の近くの村の人々が一人を除いて全滅している)。内容は「何日後、または何か月後 にこういう風にして死ぬ」といったもの。また普通電話の予告の場合は、電話を取ると被害者が出たらしくさらに、被害者の声で、「お前はいつ、どこで、こう いう風にして死ぬ。」という言葉を聞かされて、その被害者は予告通りに死ぬことになる。FAXという形でも死の予告が送られていた可能性もある。しかし、 どんなに機能が向上しても苦しみながら死ぬと言うことは今と昔も共通することである。おそらくパソコンにも死の予告メールが送られて来ていると思われる。
  • 被害者が死んだ後、口の中に赤黒い飴玉や台湾製の石炭が発見される。

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ストーリー

女子大生・中村由美(柴咲コウ)の友人でもある岡崎陽子河合ケンジが、謎の死の予告電話によって次々と不可解な死亡を遂げていく。その死の予告電話の内容は、なぜか未来からの発信時刻で来ており、死ぬ瞬間の声や映像、画像が送られてきてその未来の時刻に差し掛かったとき、その通りに死んでしまうのである。

新たに死の予告電話を受けた小学校からの幼馴染みの友人・小西なつみ(吹石一恵)を救うため、由美は謎の男・山下弘(堤真一)の協力を得て事件の真相を追うが、彼女も今までと同様に予告通り、テレビの生放送中に悲惨な死を遂げてしまう。そしてその直後、遂に由美自身が「死の予告電話」を受けてしまう。

山下は取り乱す由美を励ましつつ彼女を救うために、事件の真相を懸命に追い続けた。その結果、呪いの元凶は水沼マリエという女性ではないかとの疑いが強くなっていった。彼女は娘二人を何度も病院に運び看病することで、良い母親を演じることに快感を得る代理ミュンヒハウゼン症候群という精神病を患っていたのではないかということから、この疑いが浮上したのだ。

果たして本当に、そのマリエという女性が今回の一連の事件を起こし、今でも殺戮を繰り返している殺人鬼なのだろうか? 一方、由美も独自の調査を続 け、移転前の旧加賀美病院がある事を新加賀美病院から聞き出す。そして、ついにその呪いの元凶があるとされる旧加賀美病院を見つけた二人は、その真相を確 かめるため、漆黒の闇に包まれた廃病院にへと乗り込んでいく…。

登場人物

中村由美 – 柴咲コウ/子供時代:山田さくや
どこにでもいそうな普通の女子大生。『着信アリ』のヒロイン。
後に第二の美々子とも言われる。その名の通り物語の終わりに差し掛かったところで殺人鬼に豹変する。幼い頃、母親から虐待を受けて いた。守ってくれていた祖母が首を吊り、その現場を母親に障子の穴から無理矢理見せられたときに受けたショックから、覗き穴恐怖症となる。なつみ曰く、小 学校の理科の実験の時顕微鏡の穴を覗くことができず、泣きじゃくったことがある。
友人や知人が次々に変死を遂げていた頃、葬儀屋に勤めていた山下弘に出会い、ともに死の予告電話の謎を解明していく。小学校の頃からの友人の小西 なつみを救うために奔走したが間に合わなかった上に、小西なつみの首が落ちた直後に携帯電話が鳴り8月7日20時26分の予告を受ける。山下弘に何度も励 まされつつ、調査を続け旧加賀見病院に乗り込み水沼毬江の遺体を見つける。ゾンビと 化して襲ってくる水沼毬恵を受け止め、かつて自分を虐待していた母親に接するように従順な姿勢を見せたところ、水沼毬恵の動きが止まり白骨化した(ひたす ら謝られたことにより、毬恵はかつての自分を思い出し成仏したものと思われる)。安心して山下と別れ家に帰り、シャワーを浴びた後、部屋の置時計の針がな ぜか逆回転をし始め、ちょうど予告時間までに戻ったとき、水沼美々子に取り憑かれて殺人鬼に豹変し、山下が真実を知って彼女の家に来た所を果物ナイフで腹 部を刺した。急所を外していたためこの時点では殺人未遂で終わったが、その後、彼を旧加賀美病院にて殺した。
『着信アリ2』では、解離性同一性障害の 患者として都立藤沢病院に収容された。病室で山下や彼女の母親を殺したと本宮刑事に明かした後、彼を殺害して失踪(映画版での本宮刑事は由美の死亡を聞 き、死体の確認に行く途中、事故に遭って死亡する)。その後、2月9日に妹尾刑事の前に突然現れて妹尾刑事を殺害し、2月10日に多摩川で妹尾刑事との入水自殺に見せかけて死亡(その要因はおそらく、美々子に見限られたか何かで失望したものと思われる)。
山下弘 – 堤真一
妹の律子の死亡に疑問を持ち、12年勤めた建築会社から葬儀屋に転職して独自の調査を行った。本宮と同じく、マスコミが嫌いである。
中村由美に協力し、事件の核心に迫った。旧加賀見病院で水沼毬恵を発見し事件を解決した後、水沼毬恵が残したと思われるビデオテープを夢の木学園 で見て、事件の発端が水沼毬恵ではなく娘の水沼美々子であることを知る。急いで車を走らせ、中村由美の元に駆けつけたが、ときすでに遅く、美々子と共鳴し て殺人鬼に豹変していた由美に果物ナイフで刺される。幸いにも刃は急所をはずしていたため、旧加賀美病院にて一命を取り留めるものの、意識を取り戻した8 月10日、見舞いに来ていた由美にカミソリで喉をザックリ切られて死亡する。この事は『着信アリ2』の回想シーンで知ることができる。
水沼菜々子 – 清水聖波
毬恵の次女であり、美々子とは異父姉妹と思われる。ちなみに父親はマリエの実の父親からの性的暴行で産まれた美々子とは違い、彼女が働いていた バーの客だったらしい。毬恵が失踪した後、養護施設「夢の木学園」に預けられた。美々子からの虐待が原因なのか話すことはできない(死の着信で死亡した被 害者の口から出る飴玉と同じ飴玉を山下たちに見つけられた時、「早く良くなってね、ってお姉ちゃんがくれたの」と山下に言ったらしい)が、毬恵がビデオカメラで隠し撮りしていた美々子による虐待シーンを納めたビデオテープや、死の予告電話で死亡した遺体の口から落ちる飴玉と同じ飴玉を持っているなどして、 一連の事件の謎を解く重要な鍵となった。その後どうしているかは不明であるが、現在は施設で暮らしている。

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